北海道駒ケ岳

火山巡りの旅2003.8 南東北編

文・写真:長島茂(しげちゃん)

旅程


8月10日
・自宅→赤城山高原山那須岳沼沢→会津若松市
・8月10日午前2時自宅を出発。赤城山までは昨年夏と同じ道順を辿る。

8月11日
・会津若松市→磐梯山吾妻山→福島市→米沢市→山形市

8月12日
・山形市→蔵王山→山形市
・12日7時山形市を出発。蔵王山へ向かうが、悪天候で観察出来ず、刈田岳レストハウスで天候回復を待ったが回復せず、山形市へ戻る。14時山形市のホテルに入る。

8月13日
・山形市→蔵王山安達太良山→自宅


赤城山山麓編


赤城山東南山麓のみどり市大間々町で露出する梨木岩屑なだれ堆積物露頭
・6時赤城山東南麓の大間々町にて昨年に続き梨木岩屑なだれ堆積物露頭を観察します。

赤城山東山麓 桐生市黒保根町の清水用水川岸で露出する鹿沼降下軽石層露頭
・黒保根村清水用水で、鹿沼降下軽石層を観察します。黄白色の鹿沼軽石は約3万2千年前に赤城山から噴出しました。園芸用に販売されている鹿沼土で有名です。

・その後、国道122号を北に進みます。足尾町を通過して、長いトンネルを抜けると眼前には悠然とそびえる男体山が目に入ります。日光清滝の鉱山工場群を過ぎ、日光宇都宮道路に入ります。20分程で今市インターを降り、インターから国道121号を北に進みます。

高原山編


栃木県今市市から見た高原山

鬼怒川温泉付近より望む高原山
・8時今市市に到着して、国道を進み市街地を抜けると先には高原山が見えて来ます。鬼怒川温泉を抜け、藤原町竜王峡から有料道路日塩もみじラインに入り、途中の高原山登山口付近でテフラ層を観察しました。

高原山新湯温泉硫気口
・更に進み、硫黄臭が漂い出すと程無く奥塩原新湯温泉に到着です。此処で硫気口を観察します。高原山の北にある富士山は今から約6千年前に形成された潜在溶岩ドームです。富士山潜在溶岩ドームの北斜面から噴気が上がり、新湯温泉の道路隙間からも温泉がぶくぶくと湧いていて活発な噴気活動をうかがえさせます。

那須岳編


那須岳中腹にある殺生石噴気口
・次に那須岳に向かいます。国道400号に入り、塩原温泉街を抜け、塩原温泉の先で県道30号に入り、県道を北に進みます。15分程で那須街道と交差する地点に到着して、那須岳に向かいます。

・那須高原に入り、那須温泉を過ぎると九尾の狐伝説で有名な那須岳中腹の殺生石に到着します。白い岩石が点在する噴気口です。

ロープウエイ駅から望む那須茶臼岳

登山道で見られる降下火砕流堆積物層
・更に進みと、那須岳ロープウェイ山麓駅が見えて来ました。もう少し登り、峠の茶屋付近で那須岳降下火砕物堆積物を観察します。間に薄い白色軽石層が見えますが、これは5千年前に福島県の沼沢から噴出した軽石です。

茶臼岳南側登山道から望む茶臼岳山頂
・那須岳ロープウェイ山麓駅に戻り、ロープウェイに乗ります。10分程で山頂駅に到着して、茶臼岳山頂に向かいます。 (→那須岳ロープウェイ

・牛ケ首との分岐点を茶臼岳に向かって直登します。20分程で茶臼岳登山道の斜面が白色した硫気変質した岩石に変わると、茶臼岳の旧火口縁になります。

茶臼岳山頂

茶臼岳山頂で見られる巨大なパン皮状火山弾

茶臼岳山頂火口
・所々には降下火砕堆積物層が観察出来て、更に登ると茶臼岳の火口縁に到着します。付近の溶岩塊からは噴気が上がり、直径約200m程の火口縁を進んで、鳥居と祠が有る山頂(1915m)に13時到着しました。(これまでの火山巡りで初めての山頂到着。)

・残念ながらガスが覆い展望が有りませんでしたが、無間火口からは白色噴煙が上がっていました。

・茶臼岳を下山して、ロープウェイ山麓駅に戻り、塩原温泉に向かい、国道400号を北に進みます。

沼沢編


福島県金山町にある沼沢湖への案内看板

前山溶岩ドーム
・会津田島からは細い道となり、昭和村を通過して、金山町に入ると沼沢湖の案内看板が有り、急坂道を登ります。勾配が弛むと先には前山溶岩ドームが見えて来ます。

夕暮れの沼沢湖畔より望む惣山溶岩ドーム(右の山)

前山溶岩ドーム付近で露出するテフラ層
・17時沼沢湖に到着。夕暮れの沼沢湖畔から前山、惣山溶岩ドームを撮影します。湖畔を回り、惣山溶岩ドーム山麓で、沼沢テフラ層を観察。やや赤みを帯びた軽石層です。

・その後、沼沢湖から只見線と只見川に添うように走る国道252号を北東に進み、途中の会津坂下から、会津若松インターまで磐越自動車道を通り、19時会津若松市に到着。会津若松駅前のホテルに入る。

磐梯山編


磐梯山の南側山体崩壊で作られた流れ山の1つ猪苗代湖翁島
・8月11日7時会津若松市を出発。国道49号を東に進む。

・7時半猪苗代湖畔の翁島で磐梯山から流れた翁島岩屑なだれを観察します。猪苗代湖に浮かぶ翁島も流れ山の一つです。

国道49号線の猪苗代付近から望む表磐梯山
・更に国道を進み、翁島を過ぎるとやがて左には磐梯山が見えて来ます。野口記念館を過ぎた場所で磐梯山を撮影して、猪苗代町市街を通り、磐梯山南麓を登ります。

磐梯山南側中腹の林道脇で見られるテフラ層
・猪苗代スキー場から赤埴山林道に入り、しばらく登ると道脇には赤茶色の露頭が現れます。磐梯山と広域テフラ層が観察出来ました。

磐梯山南山麓の磐梯アルツスキー場近くで見られる岩屑なだれ堆積物露頭
・猪苗代町市街に戻り、次に南西麓の清水平で翁島岩屑なだれ堆積物を観察しようと思いましたが、草に覆われていて、詳しくは観察出来ませんでした。

磐梯山噴火記念館3D館裏で露出する1888年噴火岩屑なだれ堆積物露頭(左側)

磐梯山噴火記念館3D館裏で露出する1888年噴火岩屑なだれ露頭(右側)
・清水平の先から磐梯山ゴールドラインに入り、磐梯山北麓に向かいます。八方台を過ぎ、裏磐梯に入りると、やがて1888年噴火で堰止められた桧原湖が見えて来ます。

・9時半 裏磐梯桧原湖に到着。国道459号沿いに有る磐梯山噴火記念館を見学。見学後は3D館の裏に有る1888年噴火で発生した岩屑なだれ堆積物露頭を観察しました。

裏磐梯の1888年噴火で作られた堰止湖の中瀬沼と磐梯山
・続いて、桧原湖付近に点在する湖沼群の一つ中瀬沼に向かいます。磐梯高原国民休暇村脇から中瀬沼自然探勝路に入り、暫く進んだ高台の展望台で、磐梯山を遠望します。

・猪苗代湖から見た磐梯山と違って、真ん中がえぐり取られ、荒々しい山肌を見せる対照的な眺めです。

・次に磐梯吾妻レーク ライン有料道路に入り、吾妻山に向かいます。

吾妻山編


磐梯吾妻レークラインから望む安達太良山沼の平火口
・磐梯吾妻レークラインを進むと先には安達太良山の沼の平火口が望めました。国道115号に入りその先の土湯峠から磐梯吾妻スカイラインに入り、吾妻山に進みます。

吾妻小富士の火口縁から浄土平を望む
・12時吾妻山中腹の浄土平に到着します。此処から回りを見れば、右に吾妻小富士、反対側には一切経山が望めます。

吾妻小富士の火口底

吾妻小富士の火口縁にて見られる火口壁のアグルチネート
・先ず、吾妻小富士に登ります。10分程の登りで火口縁に着き、火口を観察。火口壁には層をなしている溶岩が望め、火口縁にはパン皮状火山弾が観察出来ました。

吾妻山大穴火口
・浄土平に戻り、次に一切経山中腹有る大穴火口を目指します。レストハウス脇を進み30分程登ると大穴火口に到着します。火口脇からは噴気が上がっていて、火口は深さ20m、直径50m程で底には茶色の水が溜まっていました。

吾妻山大穴火口と吾妻小富士
・大穴火口から浄土平方向を見ると、吾妻小富士とその右には火口に水が溜まっている桶沼が望めました。

吾妻山の一切経山南から望む一切経山の成層構造
・浄土平に戻り、次に福島方向に進みます。少し下った所で、一切経山の成層構造と浄土平カルデラ壁の断面を観察。所々に硫気変質した山肌が望めます。

吾妻山乙女峠で見られる吾妻山の降下テフラ層
・続いて乙女峠で吾妻山降下テフラ層を観察します。テフラ層の中には、5300年前に十和田湖から噴出したテフラと沼沢から5000年前に沼沢湖から噴出した軽石層が観察出来ます。

新道のつばくろ橋から望むつばくろ谷旧道の橋脚と溶岩流層
・更に下り、つばくろ谷に到着します。現在は新道に変わっていて旧道の橋は撤去されていますが、新道から谷を望むと谷の左には厚い溶岩層、右の旧道の橋げた下には硫気変質している火山岩層が望めます。

・その後、吾妻山東麓から、県道5号福島フルーツラインを北に進み、国道13号にぶつかってからは国道を山形に向かって走ります。米沢市、上山市を通過して、18時山形市に到着。ホテルに入る。

蔵王山編


刈田岳直下の蔵王ハイラインにて見られる蔵王山のテフラ層
・8月13日6時山形市を出発。天気も回復して、山形市からは東方向に蔵王山が間近に望めました。国道13号を南に進み、上山市から蔵王山へと向かいます。のどかな田園風景の中、蔵王山の西麓を緩やかに登って行きます。

・蔵王スキー場を過ぎ、標高が上がると、周りの景色も森林から草原に変わります。程無く刈田岳リフト駅が見えて来ました。前日は濃霧で周りの景色は全く解らなかったので、しばし、景色に見とれていました。

・8時刈田岳リフト駅を通過すると刈田岳山頂まで伸びる有料道路蔵王ハイラインに入ります。しかし、まだ時間が早かったらしく、料金所は開放していました。道路脇には蔵王山テフラ層が続いて露出しておりました。テフラ層を観察しながら5分程登ると刈田岳山頂のレストハウスに到着します。

刈田岳レストハウスより熊野岳方向を望む

御釜火口
・レストハウスから遊歩道を少し進むと目の前には火砕丘の下にコバルトブルーの湖面が輝く御釜火口湖が望めます。火口湖を前にして、活火山に来た事を実感出来る景色です。

刈田岳南の蔵王エコーラインで露出する蔵王川崎スコリア堆積物層
・次に蔵王エコーラインを宮城県側に下ります。少し進んだ所で左手に赤黒い露頭が現れます。蔵王川崎スコリアと呼ばれる堆積層で現在の五色岳から噴出しました。近づいて見てみると、スコリアが溶結している様子が観察出来ました。

蔵王観光道路入口で見られる蔵王山の噴火堆積物層露頭
・続いてもう少し下って林道と別れる場所で五色岳と御釜火口からの噴出物露頭が観察出来ます。2層の厚いスコリア層が観察出来ますが、上位のスコリア層は御釜火口から噴出したスコリアで下位のスコリア層と土石流堆積物は五色岳の噴出物層です。

駒草平展望台から望む五色岳

賽ノ磧南の蔵王エコーラインで見られる賽ノ磧溶岩露頭
・9時駒草平展望台に到着。此処から五色岳の崩壊地形断面を観察しました。更に進みしばらくは緩やかな下り坂でしたが、その先は急な下りに成ります。賽の磧溶岩末端崖です。下り坂の途中には、黒色の溶岩が露出していました。この溶岩を観察します。

遠刈田温泉北の土浮山で見られる蔵王山テフラ層
・蔵王山東麓に到着すると、やがて遠刈田温泉街に入ります。温泉街を抜けた土浮山地区で土石流堆積層と蔵王山噴出のテフラ層を観察出来ました。土石流は、先程駒草平から見た五色岳の崩壊した土石流が此処まで流れて来た物です。

・10時半山形自動車道の宮城川崎インターに乗り、村田ジャンクションから東北自動車道に入り、宮城県を南下します。

安達太良山編


岳温泉で見られるテフラ層
・蔵王山を巡った後、山形道の宮城川崎インターから東北自動車道を南下して、12時二本松インターに到着。国道459号を安達太良山へ向かいます。(山形道宮城川崎インター→東北道二本松インター 距離88.9km 料金2,000円二輪車)

・20分程進んだ所で岳温泉街に到着。岳温泉で安達太良山テフラ層と広域テフラの姶良丹沢テフラ層を観察します。露頭の下部に厚さ5cm程でクリーム色の層が有り、約2万5千年前に現在の鹿児島湾付近から噴出した姶良丹沢テフラ層です。

奥岳ゴンドラ駅から薬師岳方向を望む
・岳温泉から更に登ると、あだたら高原スキー場の大駐車場に到着します。スキー場の脇にはゴンドラの乗り口が有りますが、先ずはあだたら渓谷遊歩道を進みます。

溶岩流層が露出する あだたら渓谷自然遊歩道魚止めの滝
・少し谷を下りると涼感あふれる渓流を歩きます。しばらくすると落差10m程の滝が見えて来て、魚止の滝と呼ばれる滝です。ここでは2枚の溶岩層が観察出来ます。両溶岩層の間にはクリンカーが見られ、そこだけが浸食のため、削られていました。

薬師岳ゴンドラ駅前に露出している安達太良山テフラ層露頭
・あだたらスキー場に戻り、次にゴンドラ(あだたらエクスプレス)に乗り安達太良山の展望が素晴らしい薬師岳に向かいます。 (→あだたらエクスプレス

・15分程の空中散歩を楽しんで、薬師岳山頂駅に到着します。駅を降りると建物の前にはテフラ層の露頭が有りました。交互に白色と灰色のテフラが堆積している様子が観察出来ました。

薬師岳から見る安達太良山

薬師岳山頂公園から安達太良山方向を望む
・13時半薬師岳山頂の展望台に到着します。展望台から見ると、左から安達太良山の本峰、矢筈森溶岩、篭山溶岩ドーム、鉄山、更に左には箕輪山が望めました。

安達太良山山頂
・最初の予定ではこのまま戻り、帰路に着こうと思いましたが、まだ時間が早いし、何だか急に安達太良山に登りたくなり、安達太良山への登山を開始しました。

・まだこの頃は登山に慣れていない時だったので、大変な思いで登りました。

・薬師岳から約1時間程登り、勾配が緩みだすと目の前には、頂上だけ出っ張った安達太良山の山頂が見えて来ました。

山頂より岳温泉方向を望む
・14時半頂上の岩を登ると安達太良山頂上(1700m)に到着します。山頂からの展望は眼下に岳温泉街と二本松市街が望めました。

沼ノ平火口
・西方向は全体は見えませんが、沼の平火口の一部が望めます。北には矢筈森溶岩ドームとその向こうに箕輪山。北東の眼下には福島市街が望めました。

・安達太良山を下山して、15時半にあだたら高原に戻り、二本松インターまでは来た道を戻ります。16時二本松インターに乗り東北自動車道を更に南下して帰路に着きます。自宅の横浜には20時に到着しました。