出典: 日本火山の会:火山ライブラリー
世界一おいしい火山の本
チョコやココアで噴火実験 林信太郎(著) 小峰書店 2006年 1575円 火山の理工学 |
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「世界一おいしい火山の本」を拝読しましたが、この本は火山に関心のある人すべてが読んで楽しいし、役に立つ本だと思いました。内容はキッチン火山実験を紹介した本というよりも、キッチン火山実験の他、様々な火山での出来事や林さんの生々しい火山体験を通じてかかれた「火山の解説書」と言った感じです。 文中の難しい漢字には読み仮名がふってあったりと、雰囲気は子供向けの本ですが、この本は、子供に限らず火山初心者の人が読んでも、もちろん面白いと思います。また、火山をすでに深く知っている人にとっても、非常に役立つ本だと感じました。 林さんの本には、誰でもイメージしやすい非常に身近な物や現象から、全くなじみの無い噴火現象の様子やスケールをイメージさせるための工夫がふんだんに施されているので、 “イメージしにくい噴火現象をイメージしやすく説明する発想と技法” の教科書として、とても役立つと感じました。 アフリカのニアムラギラ火山の火山弾と野球をしているときに飛んでくるフライとを比較するなんていうスリリングな内容もあります。火砕サージを説明するのに、映画ガメラIIIが登場し、ガメラIIIで起こった怪獣災害が、雲仙の火砕流や入戸火砕流と比較されたりします。 露頭やキッチン火山実験は、火山を知らない人がただ見た場合、噴火現象がイメージしにくく、現象と目の前で見ているものとの大きなギャップがあるため、慣れないと楽しさを感じにくい部分があると思います。身近なイメージと噴火のイメージを繋ぐ林さんの発想や技法は、露頭を解説する火山ガイドや、キッチン火山実験デモンストレイターのトークにも活かせるに違いありません。 自然観察の世界では、火山を楽しむことは動植物を楽しむことよりも普及してないと感じていますが、その理由の一つはイメージの難しさだと思います。林さんの発想と技法は、火山で起こる現象を分かりやすいイメージで伝え、動植物に引けを取らない魅力を火山がもっていることを多くの人に伝えるためのブレークスルーになると感じました。 (2007年 1/2 竹内晋吾) 参考WEBサイト: |