画像でたどる死都日本 画像でたどる死都日本・死都日本とは


死都日本とは


 時は20XX年。世界を大不況が襲い、日本の社会・経済システムも完全に破綻していた。そんな中、新興革新政党・共和党が台頭し、有権者の熱烈な支持を得て政権を獲る。国民が共和党政権への期待に沸く一方で、想像を絶する未曾有の大災害が地下から迫ってくるのを知っていたのは新総理大臣・菅原を首班とする「K作戦」のメンバーだけであった。南九州・霧島の地下で不気味に群発する地震。大地を割って地表に向かって上昇するマグマ。そして6月18日、霧島の大浪池から破局噴火は始まった・・・・。

有珠山の2000年噴火の水蒸気爆発
(撮影:東宮昭彦)


三宅島の2000年噴火の降灰の中を走る自動車
(撮影:野田博之)

 「K作戦」のメンバーでもある火山学者・黒木は、霧島から立ち登る巨大な噴煙を山麓で目の当たりにしていた。事態は黒木の予想を遥かにしのぐスピードで破局へと向かっていく。それに気づいた黒木は、愛車のカリブを急発進させ、宮崎方向への脱出にわずかな望みを託す。瞬く間に雲仙の火砕流を1000倍しても全く足りない巨大火砕流が黒木へと迫る。自らの火山学的知識を駆使して噴火から逃れようとする黒木。やがて巨大火砕流に南九州全体が飲み込まれていく。果たして黒木の運命は・・・・。

 ここに描写されているような破局的な噴火災害は,数万年というタイムスケールで見れば,地球上のあちこちで現実に繰り返されている地学現象です。「死都日本」は、実際に起こりうる破局的な巨大噴火を題材として、石黒耀氏によって書かれた本格的なクライシスノベルです。

 本書では,破局的な巨大噴火が現代社会において起こったら日本が、そして世界がどのような事態に見舞われるかについて、きわめてリアルに描かれています。巨大火砕流が襲ってくる部分の精密な描写は火山学的に見ても迫真の出来で、多くの火山学者たちをうならせました。その反響は、本書をテーマとして破局噴火のリスクを議論する「火山小説・死都日本シンポジウム〜破局噴火のリスクと日本社会〜」が開催されるほどに大きなものとなっています。

 本書の扱っている題材は,火山現象そのものにとどまらず,世界を巻き込む政治・経済的な駆け引き,はたまた神話や伝説と火山現象との関連性など多岐に渡っています。また,菅原総理の演説の中で災害からの復興のビジョンとして語られる地震と火山の国・日本の社会のあり方は、現代社会に生きる人々の心に多くのことを訴えかけるでしょう。


 日本火山の会は「死都日本シンポジウム」で「画像でたどる死都日本」というポスターを出展しました。そのポスターの内容をより多くの方々にご覧になって頂くべく、「画像でたどる死都日本」WEB版として本サイトを制作しております。本サイトでは「死都日本」に出てくるキーワードや場面を画像を交えて解説し、関連サイトへのリンクも豊富に設けています。「死都日本」をより深く読み解き、またビジュアルに内容を味わっていただければと思います。
 なお本サイトはその性格上,小説のストーリーや伏線に対する種明かしなどに関する“ネタばれ”的要素を含んでいます。これから小説を読もうと考えていらっしゃる方は,本サイトを見る前にまず小説の方をお読みいただくことを強くお勧めいたします。

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